AI検索時代の新常識。『量』から『質』へシフトするトラフィックの価値

November 26.2025
最近「Google検索にAIが搭載されて、SEO対策はどうなるんだ?」という声をよく耳にします。
以前から、このメルマガでも生成AIの動向は追ってきましたが、いよいよ「検索」という、私たちのビジネスの入り口とも言える領域で、大きな地殻変動が起きています。

「AIが答えを要約してくれるなら、うちのサイトに来てくれなくなるのでは?」 「アクセス数(トラフィック)が減ったら、売上も下がるじゃないか」
こうした不安を感じる経営者の方も多いかと思います。
実際、多くの調査で、GoogleのSGE(AIによる要約回答)などが導入された結果、従来の検索結果へのクリック数は減少傾向にあると報告されています。

しかし、ここで注目すべきは「トラフィックの『量』ではなく『質』が変わる」という視点です。

eコマース業界の動向を分析する「eコマースコンバージョンラボ」の記事によると、AI検索経由の訪問者は、数は減るものの、コンバージョン(購入や問い合わせ)に至る可能性が格段に高い、というのです。
https://ecclab.empowershop.co.jp/archives/105918

これはどういうことでしょうか。
あくまで私見ですが、AIが「この商品とあの商品の違いは?」といった簡単な情報収集を肩代わりしてくれるため、わざわざサイトを訪れるお客様は、すでに「買うことを決めている」「より深い専門情報を求めている」といった、いわば『本気度の高い』お客様に絞り込まれていく、と考えられます。

このメガトレンドは、私たち中小企業にとって、単なる脅威ではありません。
むしろ、これまでのビジネスのあり方を見直す大きなチャンスだと、私は強く感じています。

この変化がもたらす影響を、いくつか整理してみましょう。

1.マーケティング手法への応用(KPIの変化)
これまでのように「月間10万アクセス達成」といった『量』を追うKPI(重要業績評価指標)から、「AI検索経由のコンバージョン率」や「顧客単価」といった『質』を重視するKPIへの見直しが迫られます。
アクセス数が半減しても、売上が変わらない、あるいは上がる、という事態も十分にあり得ます。

2.既存プロセス(SEO・コンテンツ制作)への影響
AIに「答え」として引用されることが、これからのSEOの鍵となります。
そのためには、表面的なキーワード対策ではなく、自社の専門性、経験、権威性、信頼性(E-E-A-Tと呼ばれます)を詰め込んだ、『高精細なオリジナルコンテンツ』が不可欠です。
AIに真似できない、現場の生の声や独自の分析こそが資産となります。

3.組織や人材育成へのインパクト
これまではアクセス解析のスキルが重宝されましたが、今後は「お客様が本当に知りたいことは何か?」という『意図』を深く洞察し、それを分かりやすく専門的な記事にできる人材(編集者やその道のプロ)の価値が、社内で相対的に高まっていくでしょう。

4.自社サービス開発への活用
自社の商品情報やノウハウを、AIが理解しやすいように整理・構造化しておくことも重要です。
AIに正しく引用されれば、それが新たな顧客接点となり得ます。

「トラフィックが減る」と聞くと守りに入りがちですが、むしろ「無駄なアクセスが減り、本気のお客様だけが来てくれるようになる」と捉え直すのはいかがでしょうか。

鍵は、私たちが持つ専門知識や経験という『高精細なオリジナルコンテンツ』にあります。
AI時代だからこそ、その価値を再認識し、磨き上げていくことに注目していただければと思います。