「BtoE」市場の勃興。顧客の前に、まず従業員と向き合う時代へ

October 08.2025
BtoB(法人向け)、BtoC(消費者向け)という言葉は、皆さまも日常的にお使いかと思います。
しかし最近、第三の市場として『BtoE(Business to Employee)』、つまり従業員向けのビジネスが急速に注目を集めていることをご存知でしょうか。
「また新しい横文字か」「要するに福利厚生の話だろう」と感じるかもしれませんが、これは単なる福利厚生の充実という話に留まらない、もっと大きな経営環境の変化を捉えた動きだと私は考えています。

この背景にあるのは、以前から何度かお伝えしている『人的資本経営』という大きな潮流です。
少子高齢化による人材不足が深刻化する中で、いかに優秀な従業員を確保し、長く活躍してもらうかが企業の競争力を左右する最大のテーマとなりつつあります。

その代表格が、オフィスに健康的な食事を届ける「オフィスで野菜」のようなサービスです。
https://vw.officedeyasai.jp/column/for-general-affairs/b-to-e

単に空腹を満たすだけでなく、従業員の健康に配慮する企業の姿勢を示すことで、エンゲージメントを高める狙いがあります。
他にも、スキルアップのためのオンライン研修や、資産形成を支援する金融教育プログラムなど、従業員の物心両面の満足度を高める多様なサービスが登場しています。
https://netshop.impress.co.jp/node/14720

ここで重要なポイントは、これらの動きが企業経営に与えるインパクトを多角的に捉えることです。

一つは、『採用競争力へのインパクト』です。
特に若い世代は、給与だけでなく「働きがい」や「自己成長の実感」を重視します。
魅力的なBtoEサービスを導入していることは、企業の採用ブランディングにおいて強力な武器になり得ます。

もう一つは、『新規事業の可能性』です。
これまでBtoCで展開してきた商品やサービスを、従業員向けパッケージとして企業に提案するという新たな収益源も考えられます。
例えば、個人向けのフィットネスサービスや家事代行サービスを、法人契約で従業員に提供するモデルなど、皆さまのビジネスにも応用できるヒントが隠されているかもしれません。

BtoEは単なる「コスト」ではなく、組織の生産性を高め、未来の成長を確実にするための「投資」です。
まずは自社の従業員が何に喜び、何に困っているのか、その声に耳を傾けることから始めてみてはいかがでしょうか。
鍵は『従業員体験(Employee Experience)』の向上にあります。